「否定と肯定」〜勧善懲悪とチームワークの法廷劇
新作レンタルの話題作、「否定と肯定」を鑑賞しました。
評価:3.5(普通の映画)
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否定と肯定(原題:Denial)
監督:ミック・ジャクソン
公開:2016年(アメリカ)
キャスト:レイチェル・ワイズ、トム・ウィルキンソン、 他
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ミック・ジャクソンらしい勧善懲悪の法廷劇
ミックジャクソンという映画監督を知ってますか?彼の名前は知らなくても、1992年に彼が監督したラブストーリーを知らない人はいないでしょう。
「ボディガード」はラブストーリーとして有名ですが、実際に見てみると、決してしみったれた恋愛映画ではなくて、アクションあり、犯人探しあり、さらにはホイットニー・ヒューストンとケヴィン・コスナーという豪華キャストの共演もあり、そして主題歌も名曲という、最高のエンターテインメントムービーとなっています。
そして、本作品は「ホロコーストの真意をめぐる法廷劇」というお堅い題材を扱っていますが、物語の主題は単純明快。チームワークと人種差別です。史実についても、「かつてホロコーストという大量虐殺があった」ということさえ知っていれば、物語が十分に理解できる良心的なストーリーで、正義の主人公たちが悪のホロコースト否認論者を打ち負かす勧善懲悪の法廷劇です。
一歩間違えればとっつきにくい映画になってしまいがちなこの題材を見事にエンターテインメント映画に仕上げたのは監督ミックジャクソンのなせる技なのかもしれません。
ホロコースト否認論者VSペンギン出版
この映画は「アーヴィング対ペンギンブックス・リップシュタット事件」という事実に基づくストーリーです。そして、物語にはホロコースト否認論者といわれる人が出てきます。「え!?そんな本当に人いるの?」と驚きましたが、さらに、この裁判の発端となった訴訟が1996年になされたものであると知って驚愕しました。ホロコーストが確かに行われたものであることは自明の事実。この物語は、ホロコーストの真偽をめぐる裁判というよりも、人種差別主義者との戦いを描いたものであるといえます。ちなみに、いくつかの国ではホロコースト否認論を唱えることは、ヘイトスピーチとして取り締まられることにもありますのでご注意ください。
法廷劇という魅力
「法廷劇」とはその映画の舞台を主に法廷にし、裁判の行く末を通してヒューマンやサスペンスのドラマが展開されていく作品を言います。法的劇の名作といえば「情婦」、「12人の怒れる男」、「告発」、などでしょうか?
法廷劇は一見地味なようですが、いくつかの素晴らしい魅力を持っていますので、ぜひご覧ください。次回は法廷劇の魅力について書こうと思っています。