「ガメラ3邪神(イリス)覚醒」〜怪獣界のダークナイト!重厚なストーリーと迫力の映像を兼ね備えた日本怪獣映画の最高峰!
「ガメラ3」は平成ガメラシリーズの最終章であり、「ゴジラ」シリーズを差し置いて、日本特撮怪獣映画史上最もドラマチックなストーリーと最も迫力のある映像を兼ね備えた、まさに最強の怪獣映画です。公開は1999年。当時小学生だった私は冬休みに映画館に観に行って大興奮すると同時に、大人も震わせるような奥の深いストーリーに打ちのめされた記憶があります。
評価:5.0(人生の1本!)
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ガメラ3 邪神(イリス)覚醒
公開:1999年(日本)
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※ 以下、重大なネタバレを含みます!
特撮とCGの融合による全く新しい怪獣映画
この平成ガメラシリーズは特撮とCGが見事に融合した今までにない特撮シーンが見られます。CGと特撮が適材適所に使われることで、ガメラとイリスの迫力ある特撮シーンが描かれています。映画で本格的なCGが使われだしたのは、1991年の「ターミネーター2」の液体金属や、1993年の「ジュラシックパーク」の恐竜でしょう。公開当時の1999年は日本のテレビなどでもCGがよく見られ始めた頃でないかと思います。
CGを使うことで、今まではおもちゃが飛んでいるようだったガメラの空中戦が迫力の映像に生まれ変わりました。ゴジラとの差別化で生まれたのであろうこの「空が飛べる」という設定ですが、今作では本当の意味でガメラの持ち味の1つになったのではないかと思います。
また、朱雀がモチーフになっている生体のイリスの神々しく、また触手がひしめく禍々しいフォルムを映像化することにもこのCGが役立っています。
一方、特撮にはCGには出せない独特の魅力があります。怪獣同士の戦いの重厚な感じや、破片がひしめくビル破壊のシーンの迫力は特撮でしか出すことができません。
「ガメラ3」は特撮のみで撮られた今までのどの怪獣映画よりも、また、CGのみで撮られた最新怪獣映画の「シン・ゴジラ」よりも、迫力のある素晴らしい映像に仕上がっていると言えるでしょう。
ちなみに、ガメラの造形についても、昭和のガメラはこんなのでしたが、
本作のガメラは後述する重厚なストーリーに恥じない造形に進化しています。
特撮怪獣映画史上最も重厚なストーリー
そして、この「ガメラ3」が他の怪獣映画とは一線を画する重厚なストーリーを持つことも、この映画が最強の特撮怪獣映画たる理由の1つです。
「ガメラ2」からの直接の続編であるこの映画。世界はギャオスの大繁殖により未曾有の危機を迎えていました。そんなこの映画の主人公の少女は1995年の「ガメラ大怪獣空中決戦」でガメラとギャオスの戦いに巻き込まれて両親を亡くした女の子。
それからというものずっと両親を殺したガメラを憎み続けていました。そんな彼女がイリスという怪獣と融合し、ガメラを殺そうとするお話です。
憎むことと許すこと。ガメラは自分を憎む少女とどう戦うのか?そして、人類はこの未曾有の危機から逃れることができるのか?日本の怪獣映画で最も濃厚な人間ドラマと、怪獣たちの死闘が描かれます。
怪獣界のダークナイト
本作では常にボロボロになって地球や子どものために戦うガメラの姿が、とりわけ強調されて描かれています。ガメラといえば、「子供のピンチに駆けつけてくれる怪獣」です。しかし、本作は主人公の少女がガメラを殺そうとするお話。
イリスを倒すために京都に現れたガメラ。少女の強い憎しみが生み出した怪獣は十分にガメラを苦しめ、その戦いは腹部に風穴が空き、片腕を失うほどの凄まじいものでした。
しかし、その戦いのあと、ガメラの手の中にはイリスと融合していた少女が握られていたのです。
自分を憎み、殺そうとする少女の命まで命まで救ったガメラ。この映画のラストシーンはそんな彼が、日本に飛来しようとしているスーパーギャオスの群れと戦うため、炎に包まれながら、満身創痍の体で歩みを進めるシーンで幕を閉じます。
ボロボロのガメラに勝機はないのかもしれません。それはすなはち、人類に未来はない、ということを表しています。でも、きっとガメラは戦うんだと思います。
人類に理解されることなく、
時には憎まれながら、
戦い続ける彼は、
沈黙の守護者、
、、、ダークナイト。