シネマライフ・キングダム

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ゴジラしか知らない人に贈る、日本特撮映画の最高峰!シリーズ1作目に見る「平成ガメラシリーズ」5つの特徴。

 特撮怪獣映画というと真っ先に「ゴジラ」を思い浮かべると思いますが、平成ゴジラシリーズの直後に展開された、日本特撮映画の最高峰というべき素晴らしい怪獣映画シリーズがあったことをご存知でしょうか?

 

 

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ガメラ 大怪獣空中決戦

公開:1995年(日本)

監督:金子修介(本編)、樋口真嗣(特撮)

キャスト:伊原剛志中山忍、他

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東宝ゴジラ大映ガメラ

 まず、ガメラの特徴を、同じく日本を代表する怪獣でありガメラと人気を二分するゴジラと比較しながら整理してみます。

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 ゴジラといえば、核と戦争から生まれた怪獣であり、日本人が抱える恐怖が具現化した恐ろしい存在です。1954年に東宝製作の「ゴジラ」でスクリーンデビューして以来、一時期はヒーローもののように数々の怪獣と戦わされてきたものの、常に人類の脅威として描かれてきました。

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 一方でガメラは1965年に大映が製作した怪獣映画「大怪獣ガメラ」の主人公。ゴジラと同じく人類の脅威として描かれているものの、子どものピンチに現れて敵対する大怪獣を倒す、という作品コンセプトが貫かれていることがゴジラシリーズとの大きな違いです。

 

平成ガメラ3部作とは?

 平成ガメラ3部作とは1995年に公開された「ガメラ大怪獣空中決戦」から「ガメラ3邪神〈イリス〉覚醒」までの金子修介監督の3本のガメラ映画を指します。

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それまで日本の特撮映画といえば、毎年お正月に公開されていた平成ゴジラシリーズでしたが、1994年のシリーズ集大成的作品である「ゴジラVSデストロイア」でゴジラが死んだことでシリーズは一時中断。それに変わって始動したのがこの平成ガメラシリーズです。

 

平成ガメラの特徴① 子どもを守るヒーロー

 子どものピンチに駆けつけ、怪獣の脅威から守るというコンセプト大映シリーズから受け継がれました。さらに、本シリーズでは人類を救うためにボロボロになりながら戦うガメラと、それを理解せず駆逐しようとする役人たち、そんな中ガメラの役割に気づいた主人公たち、の3つの関係がドラマチックに描かれます。

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上の画像は、ギャオスの光線から逃げる主人公たちをかばうガメラの手。

 

平成ガメラの特徴② ガメラの突飛な設定の刷新

 平成ガメラシリーズではガメラ新しい設定が与えられます。それはガメラは今は滅びた1万2000年前の文明が作り出した怪獣(生物兵器)であるということ。

 大映シリーズでは、確かモスクワの海に沈んでいた大怪獣が復活したという設定でしたが、ガメラには生物としては腑に落ちない点がいくつかあり、それが心無いファンからの笑いのネタになっていました。例えばガメラが足を甲羅に引っ込めると、そこからジェット噴射が出て、空を飛ぶというもの、、、笑。下の画像は昭和シリーズのものですが、当時、ゴジラとの差別化を図るため、なかなか思い切ったアイデアが満載の怪獣は今となっては滑稽ですらあります。

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 それもガメラが文明の作り出した兵器だとすれば納得がいきます。また、人間の子供を助けに現れる理由の説明にもなりました。ガメラはそもそも人類を守るために作られたわけです。

 

平成ガメラの特徴③ 繊細で大迫力の特撮シーン

 本シリーズが「日本特撮映画の最高峰」と呼ばれる所以は、その細かく手の込んだジオラマ大迫力の爆破シーンです。 

 作り込まれたジオラマは、まるで本当の街並みのようです。下の画像以外にも、東京タワーや公衆電話など本物と見紛うほど。マンションには窓が開いていたり、布団が干されていたり、生活感すら感じる素晴らしい造形でした。

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 そして、戦闘シーンは毎回下のような豪快っぷり。ガメラが暴れ出すとたちまち日本の名所は火の海となります

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 最終作になると、特撮とCGが融合された、今まで誰も見たことがなかったような怪獣映画に息を飲むことになるのですが、それはまた次回語ることにします。

 

平成ガメラの特徴④ リアリティのあるシナリオ

 怪獣映画ながらリアリティのあるシナリオを持ち合わせていることは公開当時話題となり、ヒーロー怪獣映画であるガメラシリーズは大人のファンをも多く獲得しました。バットマンを題材にした「ダークナイト」や、ゴジラのリブート作品である「シン・ゴジラ」のように「ガメラが現代に現れたらどんなことが起こるか?」という作品コンセプト。そのため、ガメラへの自衛隊の攻撃に内閣総理大臣の認可が必要だったり、犠牲者となる人々の描写も火の海に飲み込まれて行ったり、血しぶきが出たりと若干大人向けのリアルな表現になっています。

 

平成ガメラの特徴⑤ 決着は必殺技で!

 ガメラはこのシリーズで、ギャオス

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ギオン

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イリス

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という強敵と戦いますが、そのどれもがある必殺技で決着をつけます。そのどれもが見る人の意表をついた、しかし、説得力のある強烈な一撃です。この辺りは、ガメラという怪獣が実は人類の救世主、ヒーローとして描かれているが所以でしょう。

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